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9話

机上に押し付けられ、成人男性の太い性器で暴力的に犯されたのは、かろうじて少年と呼べる子供に過ぎなかった。そして彼を犯した人物は、幼い頃から彼が慕い続けてきた親しい兄だった……しかし十年前、彼の両親は彼のために道を切り開くという名目で兄の母親を殺し、兄を追い詰めたのだ……

「己れ伯仁を殺さずと雖も、伯仁己れが為に死す」

この「己れ」とは果たして、無実なのか、それとも罪があるのか?

十年間もつれ合った恨みが今吐き出され、過去と現実は絡み合った毛糸の束のように混沌としていた。千々に乱れたその糸の中から、誰が最も正しい一本を見つけられると断言できようか?

オフィスに立つ他の人々は、誰も答えを見...