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35話
「兄さん……」
玄明が更に予想もしなかったのは、この息を擦れ合わせるだけで絞り出された一声の呼びかけを聞いた後の最初の反応が、怒りに燃えてハンモックの上で弱々しく息絶え絶えになっている子供に、手を上げて思いっきり平手打ちをくらわせることだったということだ!
肉体的にも精神的にも健康な状態でさえ玄明に敵わない谷涵は、顔の痛みを感じる前に、バタンという音と共に重心の定まらないハンモックから落下し、硬直して力のない四肢で地面に倒れこんだ。背中を打った衝撃で内臓全体が体外に押し出されそうになった時、ラテックススーツによって奪われた感覚がまだ完全に戻っていない少年は、ようやく頬の火照りを感じ、口角からね...