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991話

葉天明は心の中で苦々しい気持ちに襲われた。自分は女性に体を許したはずなのに、まったく記憶がない。これでは何もなかったのと同じではないか。

葉天明は急いで服を着始めた。ここは自分の家ではないのだ。もし梁栋おじさんが帰ってきて現場を押さえられたら、大変なことになる。

紅梅おばさんはどこに行ったのだろう?

こんな夜更けに姿が見えないなんて。

葉天明は困惑しながらリビングを出ると、キッチンから麺棒を使う音が聞こえてきた。

葉天明がキッチンに足を運ぶと、エプロン姿の紅梅おばさんが麺を作っていた。

彼女は足音に気づいて不思議そうに振り返り、葉天明の姿を見るとその美しい顔に動揺の色が走った。

「て...