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945話

女は言葉を飲み込むように言った。「ま、まずは食事を……」

葉天明は頷き、女の後について竹の小屋へ戻った。

椀の中の干し肉と米を見つめながらも、葉天明は食欲がわかなかった。さっき竹の小屋の周囲を調べたところ、ある山の中腹に位置し、山下の石橋村からはかなり離れていることが分かった。

きっとこの食料や肉は特別貴重なものなのだろう。

それなのに彼女は全てを見知らぬ自分のために出してくれた。

「食べ……食べてください」女は葉天明が手をつけないのを見て、顔を赤らめながら言った。

葉天明は肉を女の椀に移し、笑いながら言った。「僕は胃腸が弱くて、肉は食べられないんだ」

女はぽかんとした後、米をひと口すくって、...