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911話

「珍ちゃんは笑いながら言った。「おばさん、金の巣も銀の巣も自分の犬小屋には敵わないわ。今回は帰って来たらもう出て行くつもりはないの」

紅梅おばさんは珍ちゃんの茶碗を受け取り、米びつから山盛りの一杯をすくった。

「足りなかったらまた来なさい。小母さんのところは米も粉もたっぷりあるからね。あんたの家の前の菜園も私が植えておいたのよ。帰って来たらなにか食べられるようにと思ってね。まさか本当に帰って来るとは思わなかったけど!」

珍ちゃんの目に感動の色が浮かんだ。「おばさん、ありがとう。この何年もの間、あなたが支えてくれなかったら、私、今頃生きてなかったわ」

「そんなこと言わないの。こちらは村に...