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862話

葉天明は重く息を吐き出した。心の中の欲望は少しも減ることはなかった。彼は瓦屋から飛び出し、井戸まで走ると、一杯の水を汲み上げて自分の体に浴びせかけた。

骨身に沁みる冷たさが、心の中の欲望を少しは和らげた。

三、四杯続けて浴びると、葉天明はすっきりとした気分になり、一人井戸の傍に座って夜空を眺めた。

今夜の月は特に明るく輝いていた。困龍村は貧しく、すぐには展望が見えないかもしれないが、彼は教育がすべてを変えられると信じていた。自分の能力があれば、村民を貧困から脱却させ、豊かにする可能性は十分にあると。

「誰だ?」

葉天明は急に振り返った。角の陰に隠れていた人影が突然消えた。

葉天明は...