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2006話

葉天明の表情は変わらなかった。実は、この二つの人影が現れた瞬間から彼はすでに気づいていたのだが、黙ったまま、何も知らないふりをしていたのだ。

彼は遅延しそうな列車のチケットを見つめ、諦めるしかなかった。今この時点で列車に乗り、あの黒白の二つの人影が我慢できずに手を出せば、列車内の一般市民が必ず巻き込まれてしまう。

彼は一瞬目を光らせ、疾風のごとく山海城の郊外へと足を向けた。

「師兄、この男の速さがまさかこれほどとは!もしや神行符を使っているのでは?」黒い影は葉天明の姿を追いながら前へと駆け続け、まるで一陣の風のように通り過ぎていったが、それでも葉天明の足取りには追いつけなかった。

「違うだ...