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1896話

叶天明は近づいてくる人物を食い入るように見つめていた。雷万鈞以外の何者でもない。

ただ、父親の雷霆と比べると、雷万鈞は少しも似ていなかった。雷霆のような堂々とした体格も、圧倒的な存在感もなく、あるのは醜悪な面構えだけだ。

二人は親子のはずなのに、似ている点が一つもない。雷万鈞は本当に雷霆の実子なのか、それとも道端で拾ってきたのではないかと疑いたくなるほどだった。

家の権力を笠に着て調子に乗っているだけの雷万鈞を見て、叶天明は内心軽蔑していた。話に乗る気もなく、肖薔薇の手を引いて彼らの横を通り過ぎようとした。

「おいおい、薔薇ちゃん、行かないでよ。一緒に踊りたいと思ってたんだ」雷万鈞は下卑た笑み...