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1894話

人は英雄を崇拝するものだが、葉天明はそうは思っていなかった。雷霆は高い名声を持ち、弱みとなるようなことは何もないように見えるが、その息子である雷家の若だんなは紛れもない遊び人だった。これは間違いなく彼らの家の顔に泥を塗るようなものだ。

まるで、常に良い人と呼ばれていた人が、ある日突然悪いことをすれば、その良いイメージが一瞬にして崩れ去るようなものだ。人々は彼がそれまでしてきたことはすべて演技だったのではないか、実は偽善者だったのではないかと次々と憶測するようになる。

雷霆が軍内でどれほどの影響力を持っていようとも、この愛息子がいる限り、表面上は会場の人々が彼に敬意を示していても、実際には雷...