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1873話

その人が携帯を取り出して数言葉を交わすと、姿を消した。

葉天明は家から十数メートル離れた場所に身を隠し、しばらく待ったが凌鑫が出てくる気配はなかった。不安になった彼は静かに家のもっと近くまで忍び寄った。

家の中は異様なほど静かだった。葉天明は源気を巡らせて中を窺うと、目にした光景に心臓が凍りついた。

凌鑫の口には何かが詰め込まれ、両手も椅子に縛り付けられていた。彼女は身動きしようとしたが、隣に立つ黒装束の男に強く押さえつけられ、身動きが取れなかった。

葉天明が驚きのあまり固まった瞬間、家から二つの黒い影が飛び出し、彼からそう遠くない場所に立った。

「はっはっは、葉天明、ようやく来たな...