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1009話

叶天明は頷いた。

「じゃあ……どうして私を助けてくれたの?」楊桃は疑問の眼差しを向けた。

叶天明は苦笑いして言った。「玉芬姉さんは心の優しい人なんだ。君が大変な思いをしてるって知ってるから、ずっと同情してくれてた。君のことを恨んだことなんて一度もないんだよ」

楊桃は黙り込み、小さな頭を叶天明の胸に埋めた。彼の体から漂う独特の男性の香りに、一瞬我を忘れてしまう。

以前なら、彼女は杜玉芬とはっきり線引きしていただろう。

でも今は、この出来事のせいで、板挟みの状態に陥っていた。

「楊桃姉さん、足は大丈夫?」叶天明が心配そうに尋ねた。

「ちょっと、ちょっと捻っただけ。二、三日休めば良くなる...