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967話

十分もかからないうちに、308号車はついに包囲された。前後十数台の車が完全に逃げ道を塞いでいた。

強盗は三十代の男二人組で、テレビでよく見るようにストッキングを頭からかぶっていた。まるで「俺たちは強盗です」と言わんばかりだ。しかし手には確かに銃を持っており、車が包囲されたのを見ると、すぐに銃を構えて車から飛び出し、周囲の人々を威嚇した。

「どけ!!どけ!!さもないと撃つぞ!」

「退けよ、でなきゃぶち殺すからな!!」

おそらく土砂降りの雨が運転手たちに勇気を与えたのか、すべてのタクシーがヘッドライトを点灯させ、誰一人として道を譲らず、後退する者もいなかった。むしろ中から電話をかけている者が...