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590話

「本当に魔法が使えるの?」

紀彤は信じられない気持ちでいっぱいだった。自分の手のひらを楚飛に預けただけなのに、薬も使わず、他の道具も使わず、ただ少し揉んで軽く引っ張っただけで、目を開けると、手のひら全体が以前とはまるで違うものになっていた。まるで別人の手に入れ替わったかのようだ。紀彤は両手をじっくりと目の前に掲げ、しばらくの間見つめ続けた。これが自分の手だなんて、どうしても信じられなかった。

「どう?満足してもらえた?」

「満足よ、とっても!」紀彤は顔を上げて楚飛をじっと見つめた。「あなた、すごいわ。どうやってやったの?」

「君が言ったとおりさ、僕は魔術師だからね」楚飛は再び肩をすくめた...