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26話

しかし、張琳は実に意外な存在だった。

張琳は店の常連客ではあるものの、彼女はいつも髪を洗うか、ヘアスタイリングをしてすぐ帰るだけで、フェイシャルケアや美容健康関連のメニューは一度も利用したことがなかった。そして大抵は無口で、たまに何詩詩に愚痴をこぼす程度で、自分のことについては滅多に話さなかった。加えて彼女の服装は街中でよく見かける一般的なOLと変わらず、たとえブランドバッグを持っていても周りからは偽物だと思われがちだった。だから今に至るまで、店の誰も彼女の本当の身分を知らなかったのだ。

とはいえ、張琳はただの羅湖区の居民委員会主任に過ぎなかった。

深セン駅が羅湖区にあるため、この一帯は...