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2170話

しかし誰も知らない、路霊の心の中の……傷を。

実の両親が目の前で仇敵に生きながらに苦しめられ死んでいく光景は、路霊の心に長すぎる間影を落としてきた。この数年、彼女が悪夢から目を覚ますたび、例外なくあの場面が目の前によみがえるのだった。言ってしまえば、路霊が今生きている唯一の意味は、復讐!復讐だけ!だがこれこそが楚飛が路霊を変えたいと思う点でもあった。女性の心に憎しみしか残っていないのなら、生きる意味などあるのだろうか?

だから楚飛は路霊の体を深く抱くたびに、彼女の全身の感情と欲望を掻き立てるため最大限の手段を尽くし、彼女が完全に彼の腕の中で迷い溺れるまで……。もちろんそれは効果があった。路...