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2055話

「アーデン王、そのようなご丁重な態度は無用ですぞ」光明教皇は七十歳前後といったところで、髪も髭も真っ白ではあったが、赤みを帯びた顔色と背筋をぴんと伸ばした立ち姿から判断すると、まだ引退するような年齢には達していないようだった。そのためアーデン王の「建前」に対しては、軽く手を上げるだけで、すぐに視線をアーデン王の後ろに立つアルヴィンへと向けた。「アルヴィン閣下、実は私はずっと一つの願いを持っておりました。それはあなたを直接お訪ねすることです。何と言いましても、あなたは我々人類の大恩人でいらっしゃる。特に先日あなたの件について耳にしてからは、その思いがより一層強くなりました。ただ、こんなに早く伺う...