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1953話

「……」

苦戦の末、一時間余りが経った今、宗琪は再び王襄の前に姿を現したが、ほとんど歩けない状態だった。楚飛に支えられてようやく歩いてきたため、道中で出会った人々は皆、彼女に奇妙な視線を向けていた。女性警察官が体裁もかまわず男性に寄りかかっているのだから、違和感を覚えるのも無理はない。その違和感は王襄の表情にも表れていた。彼は妙な顔をして「あ?これは……宗隊長、どうしたんですか?さっき出かけた時に怪我でも?」

「うんっ、怪我したわ。それもかなり深い怪我よ!」宗琪は媚びるような笑みを浮かべながら楚飛に横目を送り、王襄の視線など気にも留めていなかった。楚飛に座る場所を見つけさせると、彼女は遠慮な...