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1492話

「以前の記憶にある壺の世界と全く変わらない。相変わらずあの見渡せる小さな谷だ。両側を山に囲まれ、一方は水辺に面し、もう一方には見渡す限りの桃の花畑が広がっている……」

谷の面積はさほど広くなく、使える平地は2000平方メートルほどだろうか。今はがらんとして何もない。北側には果てしなく連なる山々、東側には雄大な大滝が流れ落ち、南側の巨大な水たまりへと続いている。水面は静かで、中には何もなく、底が見えるほど澄んでいる。あの滝から溢れ出る水がいったいどこへ流れていくのか不思議だ。西側の桃の花畑は鮮やかで美しく、咲き誇る花々がここの気候が春であることを物語っている……

春は万物の芽吹きと成長に適し...