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381話

「この世界では、欲しいものが必ずしも手に入るわけじゃない。

そのままでもよかったはずなのに、森全体が草木より大事なのに、彼はどういうわけか森を一番気にかけなかった。

彼は習慣的に私の気持ちを利用して嘘をつき、何度も何度も、しかもエスカレートしていった。

突然疲れを感じた。大学四年間も人を好きになることに疲れを感じていたけど、こんな疲れ方じゃなかった。

まるで、めったに見られない絶景を見るために山頂まで登るようなもの。以前の疲れは道中の辛さで、頂上まで辿り着けるかどうか分からない不安だった。

今の疲れは、頂上まで登り切ったのに、見渡す限り荒涼とした風景で何もなく、心も体も疲れ果てている感じ。

も...