




2話
「Sが一打一打と打ちつけていくたびに、Mの声が徐々に大きくなっていく。林隽は快感と違和感を同時に感じていた。この重すぎる感覚は好きではなかった。
おそらくMの叫び声が大きすぎたのだろう、Sはボールギャグを取り出してMに装着した。装着する前、Mは鞭にキスをして主人に感謝の意を示した。
林隽は眉をしかめた。この強すぎる支配関係に言いようのない羞恥を感じた。自分がこのレベルまでできるとは絶対に思えなかった。
自分がこんなことを?彼は小さく震えた。少し気まずい気持ちになる。一人きりなのに……
「まだ食べてないの?」突然背後から声がして、林隽はびくっと震え、咄嗟にノートパソコンを閉じて振り返った。
同室の沈知辞だった。どうやら今入ってきたばかりらしい。彼の様子を見て笑いながら「何見てたの?そんなに慌てて」と言った。
「別に何も……」林隽は思わず自分のパソコンをもう一度見た。沈知辞が近づいてきて「そんな高級品を乱暴に閉じちゃって、壊れないか心配だよ」
林隽はノートパソコンを片付けてベッドから降りると、長時間正座していたせいで足がしびれていることに気づいた。数回足を押さえていると、沈知辞が「学生会の仕事がやっと終わったの?こんな時間になってようやく食事か」と言った。
林隽は「うん」と短く返しただけだった。卒業を控え、学生会の引き継ぎや他の用事もあり、確かに忙しすぎて食事する暇もないことが多かった。
突然、自責の念に駆られた。こんなに忙しいのに、人に見せられない趣味のことを考えていたなんて。
テーブルに座り、味気なく数口食べると、沈知辞もそれ以上話しかけてこなかった。しばらくの間、二人はそれぞれのことに没頭していた。
林隽は残りの食事を急いで済ませ、夜の会議に必要なものを整理し始めた。
沈知辞も論文を整理しながら、林隽が書類を集めたりデータをコピーしたりするのを見て、さっと手を伸ばして彼の空の弁当箱を片付けた。「僕のゴミ箱に捨てていいよ。わざわざゴミ袋を用意しなくても。もし先に出るなら、僕のゴミも持って行ってくれない?」
林隽が承諾すると、突然メッセージが届いた。開いてみると、今夜の会議は相手側の半数がクラス会で来られないため、キャンセルになったとのことだった。
林隽はほっと息をついたが、この予定がなくなっても他にやることがたくさんあることに気づいた。
それが彼を少し憂鬱にさせた。ふと思いついて、悪魔に取り憑かれたかのように、スマホでさっきのフォーラムを再び開いた。
彼の住む都市にあるフォーラム系クラブを数秒見つめ、そのアドレスを記憶した。
このせいで林隽は午後ずっと落ち着かない状態が続いた。
明日必要なものを準備し、いつもの習慣なら次の計画も先に済ませるはずだった。
しかし集中できず、珍しく落ち着きがなかった。
もう一人の寮mate夏籍が戻ってきて、沈知辞と二人で気ままに会話を始めた。
林隽はトイレに逃げ込み、あの燃えるような感覚を鎮めようとした。しかし彼の下半身は静かなままで、立ったまま携帯を取り出して何かを見ようとしたが、イヤホンを持ってこなかったため断念した。
突然イライラして、タオル掛けの空洞の金属棒を折り、力いっぱい自分の腕に二回打ちつけた。痛みで息を呑む。
本当に痛い。
袖をまくり上げて腕を見ると、鮮やかな赤い痕がついていた。あの熱い感覚が少し落ち着いたようだった。
心の中でチクチクとした心地よさを感じ、もっと欲しくなった。もう一度打とうと手を上げたが、あの痛みを思い出して下ろせなかった。それでもまだ欲しいという欲望が頭に刻み込まれたように残り、彼を苛立たせた。」