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175話

「夕食のときよ」

「そんな当たり前のことじゃなくて、もっと具体的に。Katieはあなたたちのテーブルにいなかったでしょう」

「抽選会のとき、Katieに景品が欲しいかどうか聞いたんだ」林隽は沈知辞の表情を密かに窺ったが、彼は相変わらず無表情だった。林隽は唇を噛んだ。

沈知辞は微笑んで、トイレを指差した。「中で待っていろ」

これ...これだけ?林隽は自分の気持ちがどうなのか言い表せなかった。怒りでもなく、焦りでもなく、何かへの期待が空振りしたような感じだった。

彼は意気消沈してトイレに入った。

翌日の退社時、沈知辞はメッセージで「先に帰る」と一言だけ送ってきた。他には何も言わなかった。

林隽は5...