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79話

「ただ恩を受けるだけの義理はない」と思い、私はリビングに座って、若陽が出てきたら携帯を返そうと決めた。

座ってまもなく、トイレからまた奇妙な音が聞こえてきた。一つ一つの音が連続して、リズム感さえ感じられた。

眉をひそめたが、何の音なのかまったく見当がつかなかった。少なくとも、あの人を呼ぶようなかすかな声はもう聞こえなくなっていた。

約十数分後も、若陽のシャワーの強い水音はまだ止まっていなかった。

「風呂に入るのに随分時間かかるな」

私が少し居眠りしかけていたとき、洗濯機が始動する音が聞こえ、はっとして目が覚めた。

この洗濯機の音で、ふと思い出したことがあった。以前、張兄さんが発作を...