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77話

その時、ヒールの音が聞こえてきた。老陸は美人医師の声と、もう一人の男性の声を耳にした。聞いた感じでは、その男も四十代後半から五十代くらいだろうか。

老陸は廊下の端に歩み寄り、手すりに両手をついて、まるで下の通りの往来を眺めているかのようなふりをした。その部長が診察室のドアまで来ると、誰かが立っているのを見て、追い払おうとしたが、美人医師が急かしたため、部長は何も言わずにドアを開けて中に入っていった。

二人が中に入ったのを確認すると、老陸はすぐに振り返ったが、ドアはすでにぴったりと閉まっていて、隙間ひとつなかった。老陸は周囲を探してみると、ある場所を見つけた。

診察室の窗だ。ブラインドで覆...