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76話

「あの、退院手続きをした王虎という人は、いつ出て行ったんですか?」陸老は慌てて尋ねた。

「少し前です。手続きを済ませたばかりで、今ちょうど病院の正門あたりにいるんじゃないでしょうか」看護師が答えた。

陸老は追いかけようと思ったが、王虎はすでに病院の正門に着いているのに対し、自分はまだ六階にいる。追いつくことなど不可能だった。

陸老は廊下の窓に駆け寄って下を見ると、ちょうど王虎が病院の正門から出て、黒いビュイックに乗り込むところだった。ナンバープレートは遠すぎて全く見えなかった。

陸老は次の機会を待つしかないと思い、まずは陸遠の様子を見に戻ることにした。陸遠の病室へ向かう途中、さっき更衣室で見か...