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696話

「先生、お風呂の水がこんなに冷たいなんて、私たち風邪ひいちゃいますよ」

女子学生はそう言って、私が来るなり早速不満を漏らした。彼女はきっと冷水の栓を開けすぎて、お湯が冷めてしまったのだと思っていた。

私は一瞬ぎょっとして、額に汗が浮かんだ。

「そんなはずないよ、すぐに温かくなるから」

慌てて返事をすると、シャベルを手に取り、着替える暇もなく作業に取りかかった。ほとんど消えかけていた火が少しずつ勢いを取り戻していくのを見て、思わずほっと息をついた。

(早く水が温まりますように。校長先生に知られたら終わりだ…)

そう心の中で祈りながら、私はボイラーに石炭を投入し続け、何度も水温を確かめ...