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67話

男が雪の前に立ち、一言も発せずに小さな薬を取り出すと、そのまま雪の口に押し込んだ。雪は当然飲み込むことを拒んだが、男はすかさず鋭い平手打ちを何発も見舞った。

顔の痛みに耐えかねた雪は思わず口を開き、薬はそのまま喉に入ってしまった。

雪に薬を飲ませ終えると、男は陸遠の方へ向き直り、先ほど雪に与えたのと同じ薬を取り出して飲むよう促した。陸遠は怖気づいていたため、自ら進んで口を開けて薬を飲み込んだ。

二人が薬を飲み終えると、黒服の男は踵を返して部屋を出て行った。再び闇に閉ざされた部屋で、雪と陸遠は恐怖に震えながら隅に身を縮めたままでいた。

一方、自宅にいる陸のおやじと周悦は次々と恐ろしい目に...