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83話

「はい」と葉少東は立ち上がった。彼から生まれながらに漂う圧迫感がすぐさま陸俨に襲いかかる。陸俨は本能的に一歩後退し、背中が壁にぶつかった。傷口に走る痛みで、はっとする。本来なら暗殺によって傷を負ったのは自分のはずだ。葉少東こそ非があるはずなのに。本来なら昨夜の暗殺の黒幕について話し合うべきで、主導権を握るべきは自己のはずだった。しかし、今や気づかぬうちに自分に歩み寄るこの男に支配されている。男は一歩一歩迫り、自分はただ守りを固めるばかり……

葉少東の体が投げかける影が迫ってくると、陸俨は思わず目を閉じ、頭を壁に預けた。自分のこの無力さが憎らしかった。

葉少東が彼の傍らに立ち、手を上げて大切...