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43話

陸俺の心の中でずっと張り詰めていた弦が、突然切れる音がした。

何か吐き気を催すものでも見るかのように嫌悪の眼差しで葉少東を一瞥すると、陸俺は足元のキューを跨ぎ、冷たい表情で考えることもなく踵を返して立ち去ろうとした。

葉少東がそんな無礼を許すはずもなく、長い腕を伸ばして陸俺の右肩をしっかりと掴み、突然後ろへ強く引っ張った。陸俺はバランスを崩しながらも、後ろに倒れそうになる勢いを利用して体を横に捻り、強烈な一撃を葉少東のまっすぐな鼻梁へと叩き込んだ!

葉少東はその瞬間、わずかに体を後ろに反らし頭を傾けて避けた。陸俺の拳は彼の鼻先をかすめて風を切り、その鋭い風切り音に、もし避けるのが遅ければ鼻...