奪い取る愛

25話

彼は出ていく時、両親に笑顔を向けていたが、心の中では血の滴るような痛みを感じていた。自分が一歩一歩進んでいく先が明るい未来ではなく、両親までもが恥じ入ることになる暗い深淵だということを、彼は知っていた……

別れ際、母親は名残惜しそうに何度も彼に言い聞かせた。葉という姓の上司は家族全員に恩があるのだから、彼はしっかり働いて恩返しをするようにと。陸儼は無理に笑顔を作って適当に相づちを打ったが、ふと病床にいる黙り込んだ父親の思案深げで見透かすような視線に気づいた。まるで自分の偽りの殻が焼かれるように感じ、もはや取り繕うことができず、慌てて両親に別れを告げ、逃げるように立ち去った。

一生懸命働いて...