




2話
その日の午後、陸俨は会社の他の二人のデザイナーと、いつものように彼らが設計に携わった太陽光発電リゾートへ向かった。同行した二人の同僚は最近スヌーカーを覚えたばかりで、すっかり夢中になっていた。普段は口頭で経験や技術を語り合うだけだったが、今日はテーブルで実戦を楽しむつもりでいた。
「どうだ、陸くん、一緒に行かないか?」
陸俨に声をかけたその三十代前半の背の低い男は気づかなかった。陸俨が「スヌーカー」という言葉を聞いた瞬間、体がわずかに強張ったことに……
彼の表情が一瞬変わり、いつもなら穏やかで自然体に見える広い眉間にしわが寄った。その眉宇の間に刻まれた細かい皺が、隠しきれない戸惑いを漏らしていた……
必死に眉間の皺を解こうとしたが、「スヌーカー」という言葉とともに、屈辱に満ちた記憶が防壁を突き破り目の前に押し寄せてきて、いつものように落ち着いて冗談を交わすことができなかった……
そこで陸俨は一瞬だけ口角を上げ、艶のある赤みを帯びた唇が作り出した笑みは少し無理があった。「君たちだけ行ってくれ。俺はこれができないから、お邪魔するのはやめておくよ」
その声と口調は、心に深く刻まれた辛い経験を乗り越えた者だけが持つ謙虚さと内向性を感じさせ、低く落ち着いた声色は心地よい磁性を帯び、穏やかで友好的だった。
「おや、珍しいな、お前が苦手なスポーツがあるとはね!」背の低い男は陸俨が無理に笑っている理由をスヌーカーができないからだと勘違いし、すぐに気にせず陸俨の肩を叩き、おおらかな声で慰めた。「そんなの大したことないさ!お前にも苦手なものがあると思うと、やっと人間らしく見えるよ〜それに、お前はたくさんのことができるけど、俺たちだってできないことあるだろ!」
彼らには全く理解できなかった。かつてのスヌーカーの試合が陸俨にどれほど恐ろしい悪夢をもたらしたのか。
彼はその記憶から逃れるため、二度とスヌーカーのキューに触れないと誓ったのに、それでも三年後の今日、意識的に埋めてきた記憶を突然思い出すと、まるで氷の穴に落ちたかのように、強烈な寒さと極度の不安を感じた。
陸俨の冷静さが保てなくなってきた。同僚に申し訳なさそうに頷くと、困惑した二人を残して、まるで逃げるようにプールへと向かった……
水に飛び込むと、程よく冷たい水が頭上から全身を包み込み、視界も聴覚も遮断された。陸俨は一息を口に含み、ゆっくりと吐き出すと、周囲に漂っていた不思議な重圧がようやく解けていくのを感じた……
しかし、まだ心は重かった。
四方から押し寄せる水圧が、彼が捨て去ろうとした記憶を無情にも脳裏に押し戻してくるようだった。彼は三年前、香港アマチュアスヌーカーマスターズの優勝台に立っていた自分を思い出し、その時の無数の花束と拍手、夢見る少女たちの興奮した歓声を思い出し、決勝戦での物腰柔らかで一挙手一投足に優雅さが漂っていた相手を思い出し、その夜の薄暗いKTVの個室と、その後のホテルのキングサイズベッド、そして一見優雅で無害に見えたその男に体を強引に貫かれた痛みと屈辱を思い出した……
これらの記憶は、思い出すたびに、まるで死を経験するかのようだった……
四方から押し寄せる水圧が、彼が捨て去ろうとした記憶を無情にも脳裏に押し戻してくるようだった。彼は三年前、香港アマチュアスヌーカーマスターズの優勝台に立っていた自分を思い出し、その時の無数の花束と拍手、夢見る少女たちの興奮した歓声を思い出し、決勝戦での物腰柔らかで一挙手一投足に優雅さが漂っていた相手を思い出し、その夜の薄暗いKTVの個室と、その後のホテルのキングサイズベッド、そして一見優雅で無害に見えたその男に体を強引に貫かれた痛みと屈辱を思い出した……