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648話

「ここまで話して、程萌萌の顔に一瞬笑みが浮かんだが、すぐに消えてしまった。彼女は水筒を手に取り、少し飲んでから置き直した。「お姉ちゃん、でも私、名扬お兄ちゃんの心の中にはあなただけがいるって知ってるの。私がどれだけ頑張っても、彼の心に入ることはできないわ。最初は意地になって、自分の容姿や家柄を武器に、あなたに負けるわけないって思ってた。

でも現実が証明したわ。私が間違ってた。完全に見当違いだったの。どんなに努力しても、名扬お兄ちゃんの心に入ることはできないし、ましてやあなたの居場所を奪うなんて無理。そこで気づいたの、二人が愛し合うには縁が必要なんだって。まさにあの言葉通り、『十年修めて同じ船...