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2192話

二人はそこで話し合い、あっという間に三十分が過ぎた。

裴佳媛は趙雅思の肩を軽くたたくと、すっと立ち上がってトイレに向かおうとした。

しかし一歩も踏み出せないうちに、体がふらりと揺れ、そのままソファに崩れ落ちた。裴佳媛の顔色が一瞬にして変わった。

「どうしました、裴社長?」劉大偉は裴佳媛の様子がおかしいのを見て声をかけ、立ち上がろうとしたが、両足に力が入らず、まったく立ち上がれなかった。

張偉強と董成もすぐにその異変に気づき、顔色が土気色に変わった。

裴佳媛は三人の異変を察し、眉をきつく寄せた。彼女は燃えている蚊取り線香に目をやり、そして趙雅思をじっと見つめた。「あれは蚊取り線香じゃない」

趙雅...