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213話

男は頷くと、部屋を出て電話を取り出し、かけ始めた。「社長、昨夜翠翠を指名した男がいまして、今朝もまた翠翠を指名したんですが、彼女には一切手を出さず、ずっと翠翠のプライベートなことを聞き出そうとしていました。あ、それから翠翠の話では、その男は確か劉名揚という名前だそうです」

電話の向こうは一瞬沈黙した後、冷たい声が響いてきた。「わかった」

相手はそれだけ言って電話を切った。

……

劉名揚は豊雲旅館を後にし、慧園建築へと直行した。

彼がロビーに足を踏み入れると、入口の警備員が驚きに目を見開いた。

この総経理助理は、自ら辞職したんじゃなかったのか?なぜ今日また戻ってきたんだ?

劉名揚は警...