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963話

「放せ!」

私の声は彼女の胸に押しつぶされ、まるで死に抗う老人のように闇に沈んでいく。死にたくない、でも抵抗する力もない!

「お兄ちゃん、私を抱いて、私を抱いて。私はお兄ちゃんのものよ、ずっとずっとお兄ちゃんのものだった、最初からずっと。こんなに冷たくしないで、お願い。私、お兄ちゃんのこと好きなの、本当に好きなの!お願い、私を抱いて」

熱い涙が私の頭頂に落ち、頭皮がびりびりと痺れた。

彼女が、私を好きだって?

ずっと好きだったって?

頭の中で、理性という名の最後の一本の糸が、ぷつんと切れた!

「ぱん!」

その何かが切れる音が鮮明に聞こえた。そして、もう自分をコントロールできなくなった。...