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960話

「お前、なんでこんな物密輸しようとしてるんだ。これはいい物じゃないぞ。捕まったら面倒なことになる。わかってるだろう、俺は事を起こせない立場だ。俺に何かあれば、この一帯全部が崩れる。そうなったら、お前はまた別のコネを探さなきゃならなくなるぞ」

私は手元の物を面倒くさそうにテーブルの上に投げ出した。表情は変えないが、彼の条件に同意するつもりはなかった。

「こうしよう、運搬料を上乗せする!」私たちの間で言う運搬料とは、単なる輸送費ではなく、巨額のリベートのことだ。

「金を増やすだけじゃ意味がない。わかるだろう、上から下まで、どれだけの人間に手を回さなきゃならないか。この件は、他の人間を説得して...