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809話

「今、何か言ったんじゃない?」

「私が欲しいって、くれるの?」

かつての冷たさが彼女の顔に戻った。彼女はいつも通り、永遠に私の心の中の女神であり、そして、自分が何を望んでいるかを常に知っていた。

「あなた、ずっと施向南のことが好きだったんじゃないの?」

あの薄情な男こそ、彼女の心の中の王子様だったはず。ずっと彼に執着していたのに、一度も実を結ぶことはなかった。彼女が一生あの男に尽くすものだと思っていたのに、まさか自分を私にくれるなんて言い出すとは。

頭の中で、勝手に白瑩の裸体が浮かんできた。かつて病院の洗面所で白おばさんに体を診てもらっていた時の、お尻を丸出しにしてすらりとした姿。家庭教師とし...