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709話

「ここから市街地までは、まだ一時間以上かかる。彼女のこの状態じゃ、まともに座っていられないだろう。俺がやるよ」

返事を待たずに服を着て、運転席に飛び乗り、シートベルトを締め、エンジンをかけた。

前方に目をやった瞬間、なんと50メートルほど先の道路脇、こちらの方向に、ランボルギーニが停まっているではないか。そのランボルギーニは静かに佇み、窓が下げられ、こちらの方向を堂々と見ていた。

「ちくしょう」

小声で呪いの言葉を吐いた。まさに縁起でもない話をしたら現実になるとはな。この道で車に出くわすなんて、これは本当に厄介なことになった。

自分の上着を脱ぎ、まだ我に返っていないお姉さんの頭に投げ...