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696話

黒髪が背中に流れ、全体は濡れてはいないものの、髪の先端からは水滴が一滴また一滴と床へ、そして彼女の薄い寝間着へと落ちていた。

今夜、彼女は一枚のネグリジェを身につけ、その胸元の大部分が髪で濡れてしまっていた。

「そんな格好じゃ風邪を引くぞ」

私は立ち上がり、この女性を抱え上げるとベッドに投げ出し、全身で覆いかぶさった。「温めてあげるよ」

彼女の体は骨まで冷え切っていた。触れた瞬間、手のひらに広がる冷たさに、私の心臓までもが震えた。

彼女はまるで冷血動物のように冷たく、前回触れた時の体とはまったく違っていた。

「どうしてこんなに冷たいんだ?」

私は身を屈め、彼女の額にキスをした。

「慣れてるの。...