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550話

その麻布を一身に纏った男性は、老人の遺影を抱えたまま、目が急に輝き始めた。

「社長が来たぞ、社長が来た!早く責任者を呼べ、さっさと賠償しろ!うちの母親はこんな歳なのに、お前らのデタラメを信じなければ、死ぬことなんてなかったんだ!母を返せ!」

男は遺影を抱えたまま中に突入しようとした。もし警備員の反応が早くなければ、ドアを遮らなければ、彼はほぼ成功していただろう。

「警備を呼んで対応させろ。院長、私と一緒に入って」

私は目を暗くし、ここまで見て大体察しがついた。下の医師に警備を呼ぶよう指示し、私は直接院長応接室へと足を踏み入れた。

外の騒がしさは、途端にさらに激しくなった。

「逃げるな!こんな無...