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257話

資料室に着いた時、階段を出るとすぐに施如玉が資料室の入り口に立っているのが見えた。私が頭をちょっと覗かせただけで、彼女の視線がこちらに向き、すぐに私を捉えた。

「王昊!」

彼女の姿をはっきり見る前に、柔らかい体が突然私の胸に飛び込んできて、腰をぎゅっと抱きしめて離そうとしない。彼女の肩が上下し、温かさが胸元から伝わってきた。

彼女は泣いていた。声を出さずに泣いていて、肩が震えていた。

「ただいま。もう大丈夫だよ」

私は手を伸ばし、一瞬宙に浮かせた後、すぐに強く抱きしめ返した。

事件の前、僕たちはまだ揉めていたのに、事件の後、施如玉はすっかり憔悴していた。

泣きじゃくる施如玉を廊下...