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235話

彼は痩せていて、黒いマスクをつけていたため、その顔立ちはよく分からなかった。身長は一メートル七十センチほど、体重は五十キロを超えないだろう。まるで風に吹かれそうな女性のような体つきだったが、彼の全身から漂う冷たい気質は、無視できないほど強烈だった。

しかも、彼の身のこなしは俺以上だ!

「見るな見るな、何見てんだよ。俺は男に興味ねえんだよ!」

俺は唾を吐き、斜めから彼を一瞥した。彼が俺を見る目は異様に真剣で、まるでこの世に俺しか存在しないかのようだった。

「手を放せよ、触りまくんなよ。気持ち悪いんだよ」

この男、まったく感情がない。俺がどんなに挑発しても、言葉で刺激しても、まったく反応を示さ...