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57話

終始手を下さなかったもう一人の男が、ようやく手にしていた黒い箱を開け、中から赤い薬剤を取り出すと、楚凌の前まで歩み寄り、片手で彼の顎を掴んだ。

楚凌は重たい瞼を持ち上げ、薄暗い灯りの下で不気味な光沢を放つ赤い液体に目を向けた。まばたきはしたものの抵抗はせず、男の力に従って口を開き、何かは分からないがとても良いものではないであろうその液体が喉に流し込まれるままにした……

それが済むと、彼らは楚凌の反応など気にも留めず、支えを失って力なく床に倒れ、息を荒くする彼をそのままに階段を上がり、ドアを閉めた。しかし、鍵はかけなかった。

あの赤い薬剤が何であれ、楚凌にどんな影響をもたらすにせよ、今この...