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284話

広間の両開きの大きな扉は開け放たれていたが、それでも彼は手を上げて規則正しく三回ノックした。

中にいた謝雲は彼を見ると穏やかに微笑み、頷いた。「閻五、入りなさい」

謝雲に閻五と呼ばれた男は軽く頷き、改めて足を踏み出して中に入った。彼は非常に背の高い男で、深く刻まれた濃い眉と、漆黒で何も映さない鋭い目、高く隆起した鼻筋と深い輪郭の鼻、そして長年の喫煙で僅かに紫がかっているものの少女の妄想を掻き立てるほどの形の良い唇を持っていた。彼の顔の硬い輪郭線は鋭利とさえ言えるほどで、迷彩服を着て軍靴を履き、常に危険と隣り合わせの生活から醸し出される血生臭さと冷たさを身にまとっていた。彼が入ってくると、部屋に...