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246話

錦がそこまで話すと、いつもは自制的で寡黙な彼が珍しく落ち込んだ様子を見せた。手を伸ばして酒瓶を取り、自分のグラスを満たすと、一気に飲み干してしまった……

楚凌は彼のその姿を見て、何も言わずに自分のグラスにも酒を注ぎ、共に杯を合わせ、頭を仰け反らせ、乾杯した……

そしてこの夜、心に思うことがあった錦は酔いつぶれた。同じく胸に秘めたものを抱える楚凌は、むしろ異常なほど冴えていた。

……

翌朝早く、楚凌はアマンが淹れたばかりのコーヒーを手に、バルコニーに寄りかかって遠くの山々を眺めながら、心の中に漠然とした不安を感じていた。

ここ数日間に立て続けに起きた出来事を思い返し、確信を持って首を振...