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169話

「言い終わると、彼は自ら身を翻して扉を押し、先に外へ出て行った。

謝雲が去った後、錦は楚凌を見つめていたが、何も言わなかった。むしろ楚凌の方が、いつもの穏やかな口調で錦に冷淡に尋ねた。「なぜだ?」

「以前も言ったけど、私は謝氏を裏切ることはできない」錦の平坦な目は逃げることなく楚凌と視線を合わせ、非常に率直な口調で言った。「謝氏の根幹に触れない範囲なら手助けできるけど、もし兄弟と謝氏のどちらかを選べと言われたら、迷わず謝氏を選ぶ。前にも言ったはずだ」最後の言葉を発するとき、いつもなら無感動な錦の声色に、かすかな溜息と悔しさが滲んでいた……

楚凌はそれを聞くと、静かに頭を垂れた。体を後ろの埃まみ...