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660話

馬麟は本当に泣いた。

大の男が、声を張り上げて泣いた。

しかし彼の人生は、無駄ではなかったとも言える。一介の平凡な人間から、国内最大の金融帝国を掌握するまでになり、栄光も手にし、崇拝もされ、同時に悪名も轟かせた。

今や、高楼を建て、賓客を迎え、そして崩れ落ちる様子をすべて目の当たりにした。

余洋は彼をどう慰めればいいのか分からなかった。

皮肉なことに、この全ては、始まりから終わりまで、すべて劉彬が与えたものだった。

栄光も劉彬、没落も劉彬。

余洋は思わず考え込んだ。

劉総はいったいどんな人間なのだろうか?

彼が馬麟を生かしておけるのは、そもそも馬麟を眼中にも置いていないからで...