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375話

東風が吹き、戦鼓が鳴り響く。

今や草原全体が、この二人の剣を交えんばかりの緊迫した空気に影響され、熱く沸き立っていた!

「慕容公子!」

「白公子!」

「砂漠の神!」

「殺せ!」

人々は両腕を振り上げ、声を枯らして叫んでいた。

これが北漠だ!

北漠の民は質朴だが、豪胆で好戦的だ。生まれながらにして騎射の達人である。北漠では、馬に乗れないことは笑い種になる。だからこそ、年に一度のオボー祭りの第一競技は、競馬なのだ!

慕容冲はこの光景を静かに見つめていた。

会場の数万人が一斉に発する声援は、昨日空から降り積もった雪をすっかり無視しているかのようだった。

は...