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266話

「齊老!」

「齊老まで来られた!」

この声を聞いて、会場全体が尊敬の表情に包まれた!誰一人として嘲笑や軽薄な表情を浮かべたままでいる勇気はなかった。皆、背筋をピンと伸ばし、その声の主を待ち構えた。

齊老!

天麟省武術協会会長。

省都でも伝説的な人物だ。現在の穆剣青が才能の代表だとするなら、齊老は後天的な努力で成功を掴んだ典型的な人物と言えよう!

齊老もまた貧しい家の出身で、二十歳になるまでは埠頭で麻袋を担いで金を稼いでいた。

それが後の武術修行の良い体力的基盤となった。

二十歳で高人と出会い、武術の修行を始めたが、四十歳になっても大師のレベルにすら達せず、宗師などはもってのほか。師匠にさえ見放...