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72話

ここまで話が進んだ以上、趙柱根が引き返すなんて、あまりにも人情味がないだろう。

そこで趙柱根は頷いて言った。「わかった」

中に入ってみると、趙柱根は部屋の中に彼ら以外誰もいないことに気づき、思わず驚いて尋ねた。「余くんは?」

「あの人ね」田芳芳は自嘲気味に笑いながら言った。「夜になるとどこにいるのか姿を消すのよ。私がジョギングに出かける前に一度帰ってきたけど、またすぐ出て行ったわ。きっと深夜近くにならないと帰ってこないでしょうね」

彼女の家庭の事情なので、趙柱根もこれ以上詮索するわけにはいかなかった。

田芳芳は片足で跳びながら冷蔵庫の方へ行き、尋ねた。「趙先生、何か飲み物はいかがですか...