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293話

目的地に到着しても、前回のような地上での騒ぎはなかった。前回の石宮が地下百メートルほどの位置にあったことを思い出し、そのまま遁地術を使って地中へと潜っていった。

神識を使えば察知される恐れがあるが、この状況では任太礼の能力が極めて重要だった。

「任くん、何か見つかったか?」蒋旭が尋ねた。すでに五十メートルほど潜っているので、石宮が見えてもおかしくない頃合いだった。

「うん、見つけたよ。天蛾人が三人、妖人が十人、それから多くの妖怪がいる」

任太礼が発見したことを告げると、これから激しい戦いになるかもしれないという緊張感が漂った。

「なるほど、よし、撤退だ」蒋旭がそう言うと、すぐに引き返...